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森林修復に費やされた努力と経験の共有
CIFOR News No. 37, December 2004
毎年ギリシャの面積に相当する1200万ヘクタールもの世界の森林が減少する中、森林修復は今も国際的な関心を集めている。荒廃した森林を修復するための努力が、インドネシアそして世界各国で数十年以上にわたり続けられている。
2004年8月、国際林業研究センター(CIFOR)は、インドネシア、ボゴール市にある本部で「森林修復プロジェクトの再評価−過去の経験に学ぶ」と題する国際セミナーを開催した。セミナーには、研究機関、インドネシア政府、開発援助機関、民間企業、およびNGO等から約60人が出席した。このセミナーは、CIFORが中心となって実施している研究「森林修復プロジェクトの再評価−過去の経験に学ぶ」によりこれまでに得られた知見を公表するするとともに、最終取りまとめに向けて、立場の違う人々からの意見を伺うことを目的に開催された。セミナーは、「林業関係者は多数の森林修復プロジェクトが実施されてきたことを知っています。しかし、それらプロジェクトの成否、そして影響に関する情報は適切に記録されてきたとはいえません。そのためCIFORは6カ国の専門家達と協力して各国の森林修復プロジェクトに関するデータを収集し、その情報を共有することで情報のギャップを埋めようとしています。」と言う同研究の責任者藤間剛研究員の発表により始まった。
CIFORはインドネシア、中国、フィリピン、ブラジル、ベトナム、ペルーの研究機関と協力して、森林修復プロジェクトの現場で得られた教訓や経験を再評価するとともに、教訓を将来の森林修復に生かしていくための研究をおこなっている。インドネシア林業省の研究員Murniati博士とLukas
Rumboko氏は、その土地特有の森林修復の方法、つまり現地の需要、立地条件そして社会制度を考慮することが、インドネシアでの森林修復を成功させるために必要であると報告した。
フィリピン大学ロス・バスニオ校のAntonio Carandangは、現地の状況への配慮が必要なのはするこフィリピンでも同様で、「地元住民の参加とその努力を持続させるためには、生計を立てていく方法に注目する必要がある。」と述べた。
ベトナム森林研究所のDo Dinh Sam博士とPham Ngoc
Mau氏によると、同国では政府主導のプロジェクトにより450,000ヘクタールもの森林が修復された。しかし、経済的な持続性を保証するためには、民間企業の森林修復プロジェクトへのさらなる参画を図ることが必要不可欠であると言う。
中国の広東省では、民間企業による森林修復活動がすでに根付き始めている。「様々な利害関係者の間で責任、権利、義務や利益に対する合意がなされたことにより、民間企業の活動が森林修復に役立っている。」と熱帯林業研究所のZhou
Zaizhi氏は説明している。
南米の国々では、草の根活動が森林を修復するための重要な要素となっている。「小農家の人々は、活発に森林修復活動に携わっている。森林修復は、地元農民組織の強化そして彼らのおかれた現状や農民達の能力に応じた技術の提供により活性化できる。」とブラジルのSilvio
Brienza氏とEveraldo Almeida氏、ペルーのAbel Meza氏は言う。
各国の事例発表に引き続きおこなわれた総合討論では、「森林修復」という言葉が持つ意味について白熱した議論がなされた。EU(欧州連合)がインドネシアで実施している森林プロジェクト「Forest
Liaison Bureau」のTim Nolan氏は、再植林、アグロフォレストリーや小規模植林(scattered tree
planting)等、非常に異なる事業をまぜこぜに比較しないよう(リンゴとミカンの比較に陥らないよう)注意が必要であると問題提起をおこなった。
Nolan氏の問いかけに対し、CIFORのUnna
Chokkalingam博士は、それぞれの国や住民組織は、社会経済状態や政治的背景に応じて異なる荒廃林の修復方法を選択してきたと答え、「様々な国でおこなわれてきた森林修復の手法や結果を比較・検討することは、たとえ背景にある状況が異なるにしても時間と労力をかけるだけの価値があります。なぜなら、この比較・対照によって、多様な状況下においても適切で持続的な森林修復を実施するための教訓を導き出すことができるからです。私達CIFOR森林修復研究チームが対象としているのは、もともとの森林植生が劣化もしくは失われたところに森林を再生させるための活動であって、その内容や名称によって左右されるものではありません。」と付け加えた。
総合討論ではまた、異なる政治制度、文化や地理的条件における森林修復プロジェクトの成功とは何か、またその成功をどのように評価するのかという議論もおこなわれた。「成功と失敗を一般化することはできません。成功と失敗は、異なる基準や視点を持つそれぞれの利害関係者に判断をあおぐ必要があります。」とCIFORのAni
Adiwinata
Nawir研究員は言う。そして研究パートナーからも、プロジェクトの成否を評価する際には、社会的、経済的、生物理学的に区分して行なう必要があると、補足がなされた。また、プロジェクトの目的をどれだけ達成したかによって、成果を評価することもできるという意意見がだされた。プロジェクトの成否については、土地保有制度と組織体制を軸として、プロジェクトの目的と技術的な手法により、各国で行われてきた活動の分類・比較をおこなうことが最良の方法であるとCIFORのCesar
Sabogal博士が提案し、研究チームはその枠組みで取りまとめをおこなう方針をとることにした。
セミナーの閉会にあたり、「このセミナーは、これまでの研究により得られた知見を共有するためのものですが、研究活動の終了を意味するものではありません。引き続きのこの研究への積極的な参加と情報提供を望みます。」と藤間研究員は、出席者の同研究に対する協力を呼びかけた。
同研究プロジェクトでは、様々な生態的・社会経済的なシナリオ下での有効な森林修復の手法および奨励策を記したマニュアルの出版、各国における過去の森林修復に関する教訓や経験を取りまとめたデータベースの作成が計画されている。さらに、英語を母国語としないより多くの人々が同プロジェクトの成果を活用できるよう、研究報告書を事例研究を実施した国々の言語(および日本語)に翻訳、公開していく予定である。
同研究は、日本国外務省使途指定研究「荒廃熱帯森林生態系の修復」の一環として実施されています。
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