POLEX: CIFOR's Forest Policy Expert Listserver (Japanese)
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2008年6月19日付け 機会逆不均等のすゝめ

The Playing Field Needs a New Slant

(Thursday, June 19, 2008)


1978年、Jack Westoby (FAOに25年勤めて引退した、国際林業の世界では当時既に伝説的な人物)はジャカルタでの世界林業会議で参加者にこう説きました、森林管理は地域住民の必要性に応えられなければならない、と。30年が過ぎた今、それは成し遂げられたでしょうか?

まったくうまくいっていない、とAnne LarsonとJesse Ribotは述べています。彼女らの新たな論文「森林政策の貧困:不公平な機会の二重基準」には、森林政策は金と権力を持つ都会のエリートの収奪的な利益をいかに優遇してきたかが詳述されています。地方のコミュニティは、もし政策に偏りがなかったら森林管理にきちんと参加して恩恵を被っていたはずなのに、このような偏りのある政策によって貧困と排除から抜け出せなくなっています。

ある国では、森林法規や政策は二重基準となっており、地方のコミュニティにはさらに負担を課す一方で、業界には特別な恩恵を与えています。新しい林業法規が成立する前のホンジュラスでは、時代遅れの法律のせいでほとんどの森林で所有権が設定されていませんでした。コミュニティの権利は「伝統的利用」に限られる一方で、その同じ森林に対し林業当局が第三者に伐採権を発行することは認められていました。

またある国では、法律は文面上では公正ですが実際には不公正です。セネガルでは、1990年代後半の先進的な地方分権化の法律によって地方自治体に域内の森林の管理権が与えられました。しかし、その後10年近く経っても、中央集権的な割り当て制で木炭生産の許可を与える古い制度がほとんど何も変わらずに残っています。ホンジュラスではこの論文の出版後に新しい法律が成立しましたが、その施行に対しても同様の懸念が持たれています。

どちらの国でも、地域のコミュニティに機会を与えようとする取り組みがかえって反対の結果を招いています。ホンジュラスでは、小作農や先住民の協同組合による森林の利用を奨励するために社会林業システムが導入されました。しかし、森林当局と結託した大規模木材権益集団がこれを勝手に利用してしまっています。セネガルでは、先進的法律の適用プロジェクトがドナーの援助により行われているので、これがかえって、他の地域へはなかなか全面的に適用できないというセネガル林野庁の口実になってしまっています。

森林統治の改革とは、単に法律や条令をいじってゲームのルールを表面的に改めるだけのものではないということを、この論文で改めて思い知らされます。森林統治をよくするためには、日々ルールを解釈し実践している公式・非公式の様々な仕組みの構造改革も必要なのです。

つまり、森林資源に対する地域の『法的な権利』を強化することも必要ですが、コミュニティが本当に森林を『利用できるようにする』ためにはそれだけではまったく不十分だと、著者らは強調しています。政治権力、市場、情報、これらの構造がすべて寄ってたかって地域を不利な方へと追いやります。まさに、「ルールとはそれを免れるすべを持たない弱い人々、すなわち地域の貧しい大衆にしか適用されない」ものなのです。このような人々の方に機会をもっと引き寄せるために、より徹底的な変化が求められています。

そしてCIFORについて一言・・・

LarsonとRibotは、「良い分析」は地域コミュニティとその支持者が変化を引き起こすのに役立つと述べています。そして、CIFORはそのような分析を行う第一人者でありたいと願っています。『CIFOR組織戦略2008-2018:森林と人々のために変化をもたらす CIFOR’s Strategy 2008-2018: Making a Difference for Forests and People』は、18ヶ月にわたる外部への意見聴取と内部での議論を経て、今年5月の理事会で承認されました。下記をご覧いただき、同じ目的に向かいどのように協力していけるか、皆様のご意見ご感想をお寄せください。

http://www.cifor.cgiar.org/publications/pdf_files/Books/CIFORStrategy0801.pdf

(日本語訳 鷹尾 元(CIFOR) g.takao@cgiar.org)


 

今回御紹介した文献は:
Anne M. Larson and Jesse C. Ribot. 2007. The poverty of forestry policy: double standards on an uneven playing field. Sustainability Science, Volume 2, Number 2 / October, 2007.

この論文は下記からダウンロードできます。
http://pdf.wri.org/sustainability_science_poverty_of_forestry_policy.pdf

今回のPOLEXメッセージに対してコメントしたい方、他の人のコメントが見たい方は、下記POLEX-Feedback featureをご覧下さい。
http://www.cifor.cgiar.org/Publications/Polex/polexdetail.htm?&pid=802

関連する過去のPOLEXから:
2002/10/15 分権するなら民主化を
http://www.cifor.cgiar.org/Publications/Polex/Japanese/2002/2002_10_15.htm

2004/04/13 たとえ小さくとも
http://www.cifor.cgiar.org/Publications/Polex/Japanese/2004/2004_04_13.htm

2004/06/14 中南米で進む森林の地方分権
http://www.cifor.cgiar.org/Publications/Polex/Japanese/2004/2004_06_14.htm

森林政策エキスパート(POLEX)メーリングリストは、国際林業研究センター(CIFOR)の無料サービスとして英語版が1997年7月に開始されました。日本語版は2001年12月に開始されました。
このほか、フランス語版、インドネシア語版、スペイン語版もあります。過去のPOLEXメッセージは左のリンクからたどれます。

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