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2007年1月12日付け 森林と気候変動に関する厳格な意見

Stern messages on forests and climate

(Friday, January 12, 2007)


昨年11月にケニアのナイロビで開かれた、気候変動枠組条約第12回締約国会議(COP12)および京都議定書第2回締約国会合(COP/MOP2)では、森林に関わる議論が目立ちました。気候変化に対する適応において森林が鍵となるという認識が高まったことは、ナイロビ会議の重要な成果の一つです。しかし森林が重要視されたのは、温暖 化ガスの排出削減戦略としての「森林減少の回避」に関する討議によるようです。

このような討議がなされたのは、気候変動の経済的側面に関する解析(スターン・レビューと呼ばれる)を2006年10月に英国政府が公表したことも影響しています。スターン・レビューは、「森林破壊の防止」を気候変動に対する国際的取り組みにおける四つの最重要課題の一つとして強調しています。これは毎年世界中で排出されている温暖化ガスの約2割が森林破壊によるという推定によります。そしてその量は、燃料を大量に消費している輸送業界が排出している量より多いのです。
 
スターン・レビューは、森林破壊の防止による温暖化ガスの排出量削減は、相対的に安いものであると結論します。土地利用の変化による温暖化ガスの排出の70%を占める8つの国での研究は、森林破壊を止めた場合の機会費用を年当たり50~100億ドル程度と見積もっています。つまり、森林破壊の防止による二酸化炭素ガス排出削減コストは1トンあたり1~2ドル程度で、その30倍に達することもあるとされる化石燃料による排出削減コストに比べ、非常に小さなものです。

スターン・レビューが森林破壊の防止を温暖化ガス排出削減のための魅力的な戦略と結論した別の理由は、新しい技術を開発しなくても実施可能なことによります。しかし、森林破壊の防止が気候変動対策に効果的であると認めるためには、制度および政策上の大きな課題を解決する必要があります。これらの課題には、森林に関連する権利を明らかにすること、法律の施行を強化すること、そして堅牢なシステムに守られた既得権益を打ちやぶること、等が含まれます。取り組みを成功に導くには、地域の状況に応じたインセンチブの確立や、取引費用の最小化なども必要です。
 
森林政策に携わる人々は、気候変動の議論において森林問題が注目されるのは歓迎すべきことながら、組織的および政策的課題の解決に必要な「技術」が継続的取り組みを必要とする複雑なものであり、決してタダではないことを知っています。森林破壊の原因を取り除くため、気候変動への適応としてまた再生可能なエネルギー源としての森林資源を配置するために、最良の情報と解析を効率的、効果的そしてなにより公平な方法で提供することが、森林に関わる研究者の責務なのです。


 

今回紹介した「スターン・レビュー(英文)」は下記からダウンロードできます。http://www.hm-treasury.gov.uk/independent_reviews/
stern_review_economics_climate_change/stern_review_report.cfm
気候変動枠組条約第12回締約国会議(COP12)、京都議定書第2回締約国会合(COP/MOP2)については、下記に会合の概要が掲載されています。http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=7721
 
(日本語訳 森林総合研究所国際連携推進拠点 藤間 剛)

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