今回のPOLEX(英文)はDavid Kaimowitzが執筆したものです。
国際的な観光旅行は、世界でもっとも大きく、そして急速に生長している経済活動です。2003年に旅行者は、1990年の約2倍にあたる5千億ドルを超えるお金を、自分の国の外で使いました。旅行者達は、手工芸品を買うのが好きで、それは木彫り職人達に良い知らせです。
バリ島が良い例です。商業目的の木彫りは1930年代には始まっていましたが、大衆向けの木彫りの生産が急増しだしたのは、1970年代にインドネシア政府が観光業を後押しするようになってからのことです。バリの木彫りは今では、1年に1億ドルを売り上げる産業になっています。高級な工芸品から小さく可愛いネコ、カエル、果物などの小物まで、様々な木彫りをつくる工場が6千軒以上あり、2万4千人以上の彫り師が働いています。
多くの木彫り職人は、それほど稼いでいません。技術をもたない職人達は一日に数ドルしか稼ぎませんし、女性や子供にはさらに少ない金額しか得ていません。熟練した木彫り職人でも、1日の稼ぎは7.5ドル程度です。しかしそれでも、多くの世帯には最大の現金収入源なのです。
木彫りによって、バリ島の有用樹種は急速に減少し、木彫り職人達は他の島から買い付けた木材を使うようになりました。1980年代に政府は農民達が木彫りに適した早生樹種(Paraserianthesis falcataria)を植栽する事を奨励しました。今では、木彫り職人は持続的に生産された材をより多く使うようになり、木を育てた農民達もよりよい収入を得ています。
政府はまた、木彫り職人養成のために3年間のトレーニングコース、地域での展示会、材の乾燥、保存方法に関する助言など、木彫り職人を支援しています。木彫り職人達は、村からの融資を受ける事もできるのです。
このような話をDede Rohadi達は、「バリにおける、色彩、持続性そして商才」として、取りまとめました。この話は、「未来を彫り出す」という本に集められたよい話の一つなのです。「未来を彫り出す」には、観光旅行が、木彫りを通して、熱帯の芸術、文化、景観そして人々の生計に貢献しているのかを示しています。小さな木彫りをお土産に買う事は、このような国際的な動きに貢献しているのです。
(日本語訳 森林総合研究所国際連携推進拠点 藤間 剛)