2003年、CIFORはPOLEX読者を対象にアンケート調査をおこない、森林政策にもっと も大きな影響を与えたとPOLEX読者が考える書物について質問しました。その第2位と なったのは、1988年にPoore達が国際熱帯木材機関(ITTO)に報告した「木が無ければ材 も無い(No Timber Without Trees)」でした。その報告により、木材生産のために利用 されている熱帯林のうち持続的に管理されているところが、非常に少ないことが明ら かにされました。
ITTOは先日、新しい報告「熱帯林管理の現状2005」を公表しました。この報告書は、Poore達の報告以降の変化を示しています。熱帯林の持続的利用はこの20年で大きく前 進したものの、十分と言うにはほど遠い状況です。
1988年当時、木材生産のために持続的に管理されている天然林を、100万ヘクタール 見い出すのは、非常に困難なことでした。しかし、ITTOの新しい報告書は、2,500万ヘ クタールを超える熱帯林が持続的に管理されていることを示しています。そのうち の4割は、インドとマレーシアの森林です。残り6割の大半は、ボリビア、ブラジル、コンゴ、ガボン、インドネシア、パプアニューギニアにあり、それぞれの国に持続的 に管理されている森林が100~300万ヘクタールあります。マレーシア、ボリビア、ガ ボン、ブラジル、グアテマラの5カ国を合わせると約1,000万ヘクタールの森林が持続 的森林管理に関する認証を受けています。
その他の分野でも、この20年でさまざまな進展がありました。森林の持続的管理を 評価するための基準・指標についての世界的な合意ができつつあります。一般に、よ り多くの森林に関する情報が利用できるようになっています。多くの森林には管理計 画があり、植林地や森林保護地域も大幅に増加しました。
しかしながら、熱帯諸国にある3億5200万ヘクタールの天然林のうち持続的な木材生 産が実施されているのは7%にすぎません。多くの企業は、森林管理計画をもつものの、正しく実行していません。また市場にでてくる熱帯産木材には、違法に伐採されたも のが少なからず混じっています。
ITTOの新しい報告書に関する報道が、負の側面を強調して取り上げるのは、当然かも 知れません。21世紀に入り6年が経とうとするのに、西暦2000年までにすべての熱帯木 材を持続的に管理された森林から生産するという、ITTOが1990年に立てた目標に近づ いてもいないのですから。将来にわたり天然林からの木材を利用し続けるためには、森林の持続的管理の実現はこれまで以上に重要かつ緊急の課題なのです。