人のことは言えませんが、酔っぱらいというのは、同じことを繰り返し話したり、無意味なことに熱中したりしていても楽しそうです。多くの開発援助機関は、酔っぱらい状態を楽しんでいるように感じられることがあります。担当者が頻繁に入れ替わり、記録の保管と共有に力をいれず、高級酒のボトルにつめかえた安酒をありがたがるかのように、多くの機関は経験から学ぶことはありません。
そのため、米国国際開発機関(USA Agency for International Development, USAID)が、天然林およびその地域住民のため過去25年間に実施したすべてのプロジェクトを再評価したことは、喜ばしいことです。国際的評価チームによる報告書「天然林にあるUSAIDの不朽の財産:生計、景観、ガバナンス」は、USAIDの森林活動の全体像と10ヵ国での事例研究を取りまとめたものです。
1970年代、USAIDの森林プロジェクトといえば、薪炭材か流域管理のための植林でした。その後、森林減少への懸念が高まるにつれて、生物多様性保全や保護林のためのプロジェクトが増えました。そして、非木材林産物の売り込み、エコツーリズム、森林認証など市場価値を高めるための活動が増えています。また協力相手として官僚主義的な国家政府を減らし、地方政府やNGOに予算を配布する傾向が進んでいます。報告書の指針が受け入れられるならば、これからは自然資源と民主化および紛争の予防を目的としたプロジェクトが主流になるはずです。
時とともに変わったこともありますが、変わらなかったこともあります。たとえば、森林に対する長期の投資や、適切な技術の提供です。植栽地、森林、公園等、プロジェクトが対象にする土地を絞り込むと同時に、プロジェクト対象地の回りの状況を把握する必要があります。成果を評価するとき、そして新しい方針をたてるときに困らないよう、森林の環境サービスや森林産物に対する研究とモニタリングを実施して基礎データを収集しておく必要があります。プロジェクトは民族や文化に対する配慮を高める必要があります。対立や紛争の可能性に無知であるのは危険なことです。
上機嫌の酔っぱらいに悪気は無く、やる気満々ですが、仕事を任すわけにはいきません。記憶が飛ぶため、飲むたびに同じ失敗を繰り返す人もいます。組織としての記憶を積み上げないと、新しい場所や違う名前をつけた活動で同じ失敗を繰り返すことになります。USAIDを見習って多くの組織が自分たちの経験から学ぶようになると良いのですが・・・・・。