POLEX: CIFOR's Forest Policy Expert Listserver (Japanese)
Fast and effective policy alerts

2005年4月25日付け 商品産物のために失われているもの

Clearing for commodities (Monday, April 25, 2005)


 発展途上国では過去30年の間に、大豆、アブラヤシ、ココア、コーヒー等の生産に使われる農地が、5千万ヘクタールから1億ヘクタールと倍増しました。これはギリシャの3倍の面積に相当します。その農地の多くは、森林を切り開いて作られてきたのです。人口と収入の増加そして都市への人口集中が上に挙げた作物への需要を、安い土地と労賃そして政府による補助金が需要に対する供給を、急速に増加させました。ただし、収穫高が増えたのは、生産性があがったというよりもむしろ農地の拡大によっています。生産高が増えると単価が低下しますし、ある作物へのブームは突然に去ってしまうことがあるため、発展途上国が得ることができた利益がどれくらいなのかは、はっきりしていません。

 国際NGO、コンサべーション・インタ-ナショナルが出版した「商品作物と自然保全-熱帯における大面積保全の必要性-」は、上に挙げた4つの作物、牧場、植林地の拡大について検討しています。同書の著者らは、商品生産のための土地が増加することで、生物多様性が失われることに危機を感じています。そして、環境に優しい農業技術を適用するだけでは不十分だと考えています。

ブラジルの大豆生産高は世界の4分の1近くありますが、農地は30年前と比べて1300万ヘクタール以上も増加しています。その農地の大半は、中南部のサバンナを開墾して作られて来ましたが、拡大する農地はアマゾン川流域に近づいています。

 コートジボアール、ガーナ、そしてインドネシアの一部の地域では、ココア生産のための農地開発が、森林の減少を引き起こしてきました。この3つの国で生産されるココアの量は、全世界の7割に達しています。ココア生産の歴史によると、ある地域で生産が快調なのは20年から30年で、その後は病害や木の高齢化その他の問題で生産が落ち、新しい地域に産地が開かれています。

 コンサべーション・インターナショナルは、世界中で25の生物多様性が危機に瀕している地域を指定しています。そしてそのうちの4分の3はコーヒーの主要産地と重なり合っています。そして、1000万ヘクタールのコーヒー農園がすでにあります。最近は、ベトナムでコーヒー農園造成のために、森林の伐開が急速に進んでいます。発展途上国内の牛肉に対する需要がこれから15年で倍増し、それぞれの国で必要な牛肉を生産するために、森林が大面積に伐り開かれ牧場が造成されるという予測があります。

 このような問題を解決するためには、自然公園を増やすべきだと、著者らは述べています。それが正しい解決策かどうかは、まだまだ検証の余地があります。読者の皆さんも、コーヒーやココアを飲むとき、ハンバーガーを食べるとき、森林を失わずにすむ方法に想いをよせてみてはいかがでしょうか。


 

今回のPOLEXで紹介したのは次の書籍です。

Niesten, E.T, Rice, R.E., Ratay, S.M. and Paratore, K. 2005. Commodities and Conservation: The Need for Greater Habitat Protection in the Tropics, Washington D.C., Conservation International.

無料コピー(PDF版、製本版)を希望される方は、Mr. Terhi Majanen (t.majanen@conservation.org) 宛、ご連絡下さい。コメントや質問は、Mr. Dick Rice (d.rice@conservation.org)宛にお願いします。

森林政策エキスパート(POLEX)メーリングリストは、国際林業研究センター(CIFOR)の無料サービスとして英語版が1997年7月に開始されました。日本語版は2001年12月に開始されました。
このほか、フランス語版、インドネシア語版、スペイン語版もあります。過去のPOLEXメッセージは左のリンクからたどれます。

POLEXの受信を希望する方は、Ms. Ketty Kustiyawati <k.kustiyawati@cgiar.org>に御希望の言語を指定して御連絡ください。