2,30年前まで、田舎で暮らす貧しい人々は、農業により生計をたてていると信じられていました。その後、さまざまな調査により、日雇い労働、工芸品作成、小商いそして親戚縁者からの送金が、収入の重きをなしていることが示されました。田舎の貧困は異なる意味合いでとらえられるようになりました。
世界銀行の新しい調査報告「環境、森林からの収入そして僻地の貧困」により、薪、野生動物その他の森林産物が、田舎の貧しい人々にとって三番目に重要な収入源であることが示されました。同報告書によると、田舎で暮らす人々の総収入の22%は森林産物によるものでした。
同報告書は、アフリカ東部、南部および南アジアを中心に世界各地の17カ国でおこなわれた54の家計収入に関する研究例をとりまとめたものです。湿潤熱帯林、半乾燥林、乾燥林のそれぞれが相等しく研究対象となっていますが、湿潤熱帯林の事例については南アメリカの先住民族に関する研究が大半をしめています。
森林産物からの収入を詳しく見ると、動物、昆虫類、果実および山菜といった食料による収入が38%、燃料材によるものが32%、かいば、薬草および木材によるものが30%となっています。これらの森林産物からの収入は、日々の生活に直接消費されるものと、現金収入になるものがほぼ半々です。より豊かな家庭の方が、より多くの森林産物を収穫しています。その一方で、貧しい家庭ほど総収入のうちに森林産物が占める割合が高くなっていました。そして市場から遠い僻地で教育レベルが低い村ほど、収入の森林への依存度が高くなっていました。
今回紹介した報告書の著者らはとりまとめの対象とした研究報告の多くは、十分な方法で研究がなされておらず、質の高い調査研究が必要であるとしています。そのような研究を実施するためには、追加的な費用が必要です。しかし現段階で確かなことは、田舎の人々はこれまで考えられてきた以上に、生計を森林産物に依存しているということです。貧困解消のための戦略を立てる際には、田舎の人々が拠り所にしている収入源を失うことが無いよう、十分に注意する必要があります。