Peters, Gentry, Mendelsohn 達が1989年に科学雑誌Natureに発表した論文は世界中の自然保護主義者の注目を集めました。Peterらはペルーアマゾンのデータから野生の果実を採集する方が森林を伐採するよりも多くの現金収入につながると述べたのです。この論文により、果実、ドングリ、生薬、木彫り、樹脂、木質繊維などを販売することにより、森林の伐採を減らすことが出来るようになると、多くの人が期待したのです。非木材林産物を採集しているのが貧しい人たちであることから、この説は正しくときには美しいものとなりました。非木材林産物の販売は、開発援助が成しえなかった森林と人々の生活を両立を可能にするものと期待されたのです。
本当にそうだったのでしょうか? 非木材林産物の販売は本当に森林資源そして人々にとって良いものだったのでしょうか? Manuel Ruiz-Perezと Brian Belcher他29名にが、雑誌「生態学と社会(Ecology and Society)」に発表した 論文は、アフリカ、アジア、南米で実施した61の事例研究からこれらの問いに答えています。
非木材林産物の販売はつぎの3つタイプに大別されます。
- 農民が非木材林産物を農作物のように管理するタイプ。
農民は、商品製産樹種を農園のように栽培するか、森林のなかでも集約的に管理します。 農家はその樹木の栽培に専念し、家計収入の大半がその生産物によるものとなっています。 多くの場合、土地使用権と市場へのアクセスが安定していて、生活も裕福です。資源を激減 させることもありません。人々と資源利用という点ではうまく行っています。しかし、 最貧困層の人々や手つかずの森林にあてはまることはまれなのです。アジアの事例の多くは このタイプに当てはまります。
- 貧しい農民が天然林から非木材林産物を採集しているタイプ。
森林資源の管理はほとんどなされません。人々は、何とか暮らしていくために様々な 森林産物に依存していて、過剰な採集をしてしまうことがよくあります。林産物は人々の生活の頼み の綱なのですが、将来の見通しは良くありません。このタイプはアフリカに特徴的です。
- 林産物は農家の収入のわずかな部分を占めるにすぎないものの、収入源を多様化させているタイプ。
これは、農家の収入の豊かさの点でも資源管理の集約性の点でも上の1と2の中間にあたります。
Manuelらの論文は、集約的に管理されていない天然林で採集した林産物の販売により、森林が保全されたり、人々の貧困が解消することがほとんど無いと強く示唆しています。林産物の栽培は裕福な農家にとって良い経済活動になり得ます。同様に天然林での採集活動は人々の生存を助けるものと言えます。ただし、援助機関や自然保護主義者が期待したほどに、非木材林産物を販売するだけで、森林が守られ人々の生活が改善されることは、ほとんど無いのです。