今回のPOLEXは、小規模森林産業の可能性に関する書籍の紹介です。
森林ビジネスで利益をあげているのは大企業ばかりではありません。市場競争に参加できるなら、小農や地域共同体も森林産物から現金収入を得ることができるのです。小農や地域共同体が林産物市場での競争に参加することは、時として森林破壊に繋がることがあります。しかし、持続的森林経営に貢献することもあるのです。残念なことに、国家政策として小農や地域共同体による小規模な森林経営を支援することはまれなようです。民間企業、NGO、そして草の根組織は、小農もしくは地域共同体による森林産物市場の形成に貢献できるはずです。このようなことを取りまとめた書籍、「森林保全と貧困解消のための新機軸、市場を小規模生産者達に解放するために(A New Agenda for Forest Conservation and Poverty Reduction, Making Markets Work for Low-income Producers)」がForest Trends, CIFOR IUCNから共同出版されました。その本によると、小規模生産者は次のような利点をもっています。
1)発展途上国の少なくとも4分の1の面積の森林を管理していること。
2)都市およびパルプ工場での需要増に対応できるだけの土地をもつこと。
3)生産システムが多様なことにより、生産物価格の暴落に対応できうること。
4)雇用の促進や遊休地の活用につながること。
5)森林資源の少ない国は、小規模林家からの生産に依存すること。
6)「公正な貿易」市場は、小規模林家や地域共同体から生産物に高価格をつけうること。
ではなぜ、小規模生産者によつ林産物の販売がすすまないのでしょうか?
本当のところ、小規模生産者は世間が認識しているよりも多くの商売をしています。単に、統計に現れないということはあります。つまり、熱帯発展途上国政府の多くは、薪炭材、建築材、薬用植物、野生動物の肉、家具、手工芸品、木材等の流通を正確に把握できていないのです。一方で、小規模な森林経営の多くは非合法的なものであるという現実もあります。
多くの政府が小規模生産者に事業の機会を与えていないという問題もあります。多 くの政府は大企業にのみ森林利用権を与えるのです。多くの場合、小規模生産者はお 役所的な手続きに対応できませんし、つてもなければ賄賂を送る余裕もありません。 そして、大企業に対して小規模生産者の経済活動が競争力を持てるような補助をおこ なっている政府は、ほとんどありません。(残念ながら、大多数のNGOも同様で す。)市場の確保においては、大企業と小規模生産者が同じ土俵に立てるような方策 を検討する必要があるのです。
林産物市場は誰にでも開放されているわけではありません。多くの世帯は、貧困であるが故に、市場への参加を果たせずにいます。貧困な世帯にとって森林は、最後に頼るべき資源であって、収入増加を図るための資源ではありません。今回のPOLEXで紹介した書籍は、小規模生産者が安定した収入を得ることができないのは、贈賄のための資金が無いことや既存のネットワークに割り込むことができないためであるとしています。小規模森林経営は、見た目がよいだけでなく、地域住民の現金収入を増やすことができるはずです。