今回のPOLEXは、文化大革命から経済開放という政策の激変が中国の森林に与えている影響に関する書籍「中国の森林?市場解放の教訓」を紹介します。
1980年代初頭、中国の森林の約6割を管理していた村落共同体は、森林管理を個々の農林家にゆだねました。5700万世帯が3000万ヘクタールの荒廃した森林を植林対象地として手にしたのです。数百万世帯が、森林を利用、管理する権利を手にしました。政府はまた、竹、果実、松の樹脂等の新林産物の市場を自由化しました。
ほとんどの世帯は、自分たちが手にした森林を収奪的に利用しました。しかし、数年後には、再植林のとりくみを始めたのです。共同体から個々の世帯への森林利用権の移行が早くおこなわれたところ、市場開放がすすんだところ、そして税率が低く、政策が安定した地方ほど、個人経営の森林管理の改善が進みました。
経済開放による利益をより大きく受けたのは、高等教育を受けることができたり、竹や果樹を所持している世帯でした。防風林の造成により、農業生産を改善した世帯もありました。しかしながら、それぞれの世帯が木材生産による利益を得ることができるようにするためには、税制の改善や規制緩和が必要です。貧困に直面している郡部の8割以上は、山地林に覆われていて、生計の改善はゆっくりとしか進んでいないのです。
中国では1980年代半ばから1993年にかけて森林面積が500万ヘクタール増加しました。植林地が2100万ヘクタール増えたのに対して、天然林は1600万ヘクタール減少しました。このような変化は、中国が直面している土壌浸食を抑える良いかも知れませんが、生物多様性の減少に繋がっています。中国政府は、いくつかの地方で森林伐採を禁止したり、数百万ヘクタールの保護林を設定したりして、生物多様性の保全に努めています。
中国ではまた、紙の需要が増加したために、農作物の残りものから紙をつくる工場が増大しました。しかし、そのような工場が水質汚染を引き起こしたことから、多くの工場が閉鎖されたのです。中国政府は、農業残さではなく木材パルプによる製紙をおこなう外国企業の誘致を奨励しています。しかし、どこからパルプ原木を調達するかについては、明らかにされていないのです。
たぶん、パルプ原木は輸入によって供給されるのでしょう。中国は、パルプ原木以外でも、森林生産物の巨大輸入国になりつつあります。つまり中国の動向は、世界の森林に大きな影響を与えるのです。持続的な森林管理の実現のためには、中国の動きに注意を払っておく必要があるのです。