今回のPOLEXは、住民参加林業の国際ネットワークに関する論文の紹介です。発展途上国において、住民(社会)林業、ネットワーク、パートナーシップ等に関わっている方々の必読書になるはずです。精読を心からお勧めします。
グローバリゼーション(国際化)の波は、貿易や情報交換だけでなく、さまざまな分野に広がっています。地域住民による森林管理というある地域に密着した活動ですら、国際化の影響を受けているのです。住民による効果的な森林管理のために、情報交換、宣伝・広報、国際機関への働きかけや政策提言が、世界中でなされています。
この20年間で、住民林業をすすめるための国際ネットワークが少なくとも9つ形成されました。Marcus Colchester達は、それらの国際ネットワークの評価を行い、「住民、森林そして国際ネットワーク-溝を埋めるために」として取りまとめました。
住民林業のための国際ネットワークは当初、政府および援助機関で働く人々に、主として技術的な情報を提供するためのものでした。現場の技術問題を解決するための情報を提供し、住民林業への理解を高めたと言えます。しかし、森林政策を地域住民を重視したものに変えていくほどの影響力はありませんでした。
近年、住民林業国際ネットワークは、啓蒙活動を重視するようになっています。国際援助機関への働きかけ、森林・環境問題に関する国際会議議への参加、国家および地域間の森林政策への提言、そして参加者間の情報交換に重きをおくネットワークが形成されています。
Colchester達は、ブラジル、カメルーン、中国、インド、インドネシア、メキシコ、ウガンダの7カ国で、国際ネットワークが住民林業にもたらした効果を調査しました。国際ネットワークによって、住民林業実施の核となる人々の意識の向上、活動の活発化がすすみ、また住民林業が広く受け入れられるようなっていました。しかしながら、国際的な努力と個々の国の国内事情を結び合わせた活動を行うことは、簡単なことではありません。同じような活動をしているのに、お互いにネットワークの存在を知らないということもあるのです。
住民林業を支援するための国際ネットワークといいますが、住民が実際に参加しているネットワークはほとんどありません。田舎の人々は、e-mailを使いませんし、国際ネットワークの共通語(ほとんどが英語)を話すこともできません。さらに、田舎の人々の多くは、いわゆる専門家と平等な立場で対話できると、感じていないのです。また、それぞれのネットワークを実質的に運営している人は少数にすぎないため、多数の小農・林家の人々と対話して活動を進めるのは、物理的に困難なのです。
貧しい人々が国際化社会にどう参画していけば良いのかについて、はっきりとした答えはまだありません。しかし、だからこそ、国際化の波と地方の現実との間にある溝を埋める方法を、探し続ける必要があることは確かです。国際援助機関、世界的な情報ネットワーク、多国籍企業、そして地域住民のそれぞれが、それぞれの目的を達成するために、国際的に協調した努力を続ける必要があるのです。