今回のPOLEXでは、小規模経営型林業に与えられる森林認証に関する研究を紹介します。森林認証については文末に日本語WEBサイトのリストをつけましたので、ご参照いただければ幸いです。
Forest Steward Councilによる森林認証(FSC認証)が始まって、今年で10年になります。この10年間で、森林認証制度は林業界に大きな影響を与える存在となりました。世界中で、3000万ヘクタールを超える森林がFSC認証を受けており、そのほかの制度を合わせると認証を受けている森林は1億ヘクタールを超えています。
森林認証制度は、当初、大規模な商業伐採に対して適用されるものでした。しかし現在では、小規模な伐採業者や住民林業も認証を受けるようになっています。小規模な認証をうけている森林の面積を足し合わせると、発展途上国の森林の約4分の1を占めます。同様に、先進国でもかなりの面積の森林が小規模林家により管理されています。
国際環境NGO、フォレストトレンズ(訳注)のAugusta Molnar著「森林認証と住民?これから10年を見越して?(Forest Certification and Communities: Looking Forward to the Next Decade)」によると、2002年8月現在、約50の住民組織が管理する1100万ヘクタールの森林がFSC認証を受けていて、その大半はメキシコとガテマラの住民林業です。なお、Sustainable Forestry Initiative (SFI)、Pan-European Forest Certification (PEFC)等の制度でも、小規模経営の林業を認証していますが、住民林業は認証の対象ではありません。
Molnarの研究によると、森林認証を受けることにより、住民組織は様々な利益を受けることができます。たとえば、木材生産地としての名が広まること、森林利用権がより安定すること(土地利用権が変更されるおそれのある発展途上国では極めて重要です。)、政府や国際援助機関から資金および技術支援を受けやすくなること、また新しい市場を開拓しやすくなることと等があげられます。さらには、従来は森林利用に関する決定に参加できなかった地元の人たちも、認証を受けるための過程を通じて、森林利用に関する議論に参加できるようになるのです。
森林認証を受けるには一定の費用が必要です。小規模林家や住民組織にとって、認証を受けるための費用は決して安いものではありませんし、手続きも複雑です。メキシコ南部の事例では、住民組織が5年間の森林経営に対してFSC認証を受けるためには、6万ドル必要でした。森林経営から来る利益と比較するとき、6万ドルという金額は決して小さなものではありません。実際は、開発援助機関が大半の経費を負担しているとはいえ、いつまでもそのような支援が続くわけではありません。ほとんど大半の住民組織は、認証を受けるために必要な事務力、生産力、品質、技術支援、そしてなにより認証を受けようという意志とその必要性に対する認識が欠けているのが現実です。FSCでは、住民組織がより認証を受けやすくなるように、小規模な認証制度の導入を決めました。しかし、Molnarによると、その新しい認証制度でも小規模林家や住民組織にとっては、まだまだ敷居が高いようです。
森林認証制度により、小規模な住民林業を支援するには、小規模な林業経営を推進するような市場の開拓など、何か別の方策が必要です。政府が、小規模な林業経営を奨励する政策を検討する必要があるでしょう。林業関連省庁や各種開発援助プロジェクト、NGOは、住民林業が森林認証をうけることにより林業がなりわいとして成り立つように支援する必要があります。そして何よりも、森林認証制度の導入により社会的弱者が、森林資源の利用そして販売を制限されたりしないよう、注意を払うことが欠かせません。