POLEX: CIFOR's Forest Policy Expert Listserver (Japanese)
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2003年10月7日付け 小規模林業の認証

Certifying the little guys (Tuesday, October 07, 2003)


  今回のPOLEXでは、小規模経営型林業に与えられる森林認証に関する研究を紹介します。森林認証については文末に日本語WEBサイトのリストをつけましたので、ご参照いただければ幸いです。

 Forest Steward Councilによる森林認証(FSC認証)が始まって、今年で10年になります。この10年間で、森林認証制度は林業界に大きな影響を与える存在となりました。世界中で、3000万ヘクタールを超える森林がFSC認証を受けており、そのほかの制度を合わせると認証を受けている森林は1億ヘクタールを超えています。

 森林認証制度は、当初、大規模な商業伐採に対して適用されるものでした。しかし現在では、小規模な伐採業者や住民林業も認証を受けるようになっています。小規模な認証をうけている森林の面積を足し合わせると、発展途上国の森林の約4分の1を占めます。同様に、先進国でもかなりの面積の森林が小規模林家により管理されています。

 国際環境NGO、フォレストトレンズ(訳注)のAugusta Molnar著「森林認証と住民?これから10年を見越して?(Forest Certification and Communities: Looking Forward to the Next Decade)」によると、2002年8月現在、約50の住民組織が管理する1100万ヘクタールの森林がFSC認証を受けていて、その大半はメキシコとガテマラの住民林業です。なお、Sustainable Forestry Initiative (SFI)、Pan-European Forest Certification (PEFC)等の制度でも、小規模経営の林業を認証していますが、住民林業は認証の対象ではありません。

 Molnarの研究によると、森林認証を受けることにより、住民組織は様々な利益を受けることができます。たとえば、木材生産地としての名が広まること、森林利用権がより安定すること(土地利用権が変更されるおそれのある発展途上国では極めて重要です。)、政府や国際援助機関から資金および技術支援を受けやすくなること、また新しい市場を開拓しやすくなることと等があげられます。さらには、従来は森林利用に関する決定に参加できなかった地元の人たちも、認証を受けるための過程を通じて、森林利用に関する議論に参加できるようになるのです。

 森林認証を受けるには一定の費用が必要です。小規模林家や住民組織にとって、認証を受けるための費用は決して安いものではありませんし、手続きも複雑です。メキシコ南部の事例では、住民組織が5年間の森林経営に対してFSC認証を受けるためには、6万ドル必要でした。森林経営から来る利益と比較するとき、6万ドルという金額は決して小さなものではありません。実際は、開発援助機関が大半の経費を負担しているとはいえ、いつまでもそのような支援が続くわけではありません。ほとんど大半の住民組織は、認証を受けるために必要な事務力、生産力、品質、技術支援、そしてなにより認証を受けようという意志とその必要性に対する認識が欠けているのが現実です。FSCでは、住民組織がより認証を受けやすくなるように、小規模な認証制度の導入を決めました。しかし、Molnarによると、その新しい認証制度でも小規模林家や住民組織にとっては、まだまだ敷居が高いようです。

 森林認証制度により、小規模な住民林業を支援するには、小規模な林業経営を推進するような市場の開拓など、何か別の方策が必要です。政府が、小規模な林業経営を奨励する政策を検討する必要があるでしょう。林業関連省庁や各種開発援助プロジェクト、NGOは、住民林業が森林認証をうけることにより林業がなりわいとして成り立つように支援する必要があります。そして何よりも、森林認証制度の導入により社会的弱者が、森林資源の利用そして販売を制限されたりしないよう、注意を払うことが欠かせません。


 

 今回、紹介した論文には英語版とスペイン語版があります。PDF Fileの入手を希望される方は、Forest Trendsの廣光 恵さん宛、ご連絡下さい(日本語可)。質問やコメントについては、Mrs. Augasta Molner宛にお願いします。また英語での質問・コメントの送付に不安がある方は、CIFORインターンシップの倉光宏明に、ご連絡頂ければお手伝いさせて頂きます。なお、Molnerさんへの質問とコメントについては、今回紹介した論文をご一読の上でお願いします。


訳注:Forest Trends 保護区以外の森林保全に市場ベースで取り組む非営利団体
    http://www.forest-trends.org

POLEX日本語版で紹介されたForest Trendsの研究

2002年10月21日付け 炭素の利益を住民に
Carbon markets for the poor (October 21, 2002)
http://www.cifor.cgiar.org/polex/japanese/2002/2002_10_21.htm

2002 年6月15日 誰が世界の森林を所有しているか?
Who owns the world’s forests? (June 15, 2002)
http://www.cifor.cgiar.org/polex/japanese/2002/2002_06_15.htm


森林認証制度関連日本語WEBサイト

POLEX日本語版
2002年7月11日付け 森林認証制度のてびき
Certification: plain and simple (July 11, 2002)
http://www.cifor.cgiar.org/polex/japanese/2002/2002_07_11.htm

林野庁 森林認証・ラベリング
http://www.rinya.maff.go.jp/seisaku/sesakusyoukai/ninsyou/t.html

環境省(環境ラベル概要)
http://www.env.go.jp/policy/hozen/green/ecolabel/a04_14.html

外務省 G8森林行動プログラム(仮訳)実施進捗状況報告書
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/ko_2000/
documents/forest/fore_03.html


Friends of Earth Japan 日本の森林認証制度の必要性
http://www.foejapan.org/forest/jforestry/certificate.html

WWF Japan-森林
http://www.wwf.or.jp/forest/index.htm

森林認証制度研究会
http://www.chiiki-kankyo.net/fcnet/index.html

持続可能な経営のための勉強部屋 「森林認証」
http://homepage2.nifty.com/fujiwara_studyroom/sinrin/sinrin.html

食と森の認証
http://lumiere.sheena.to/~elica/axis/forest.html


 今回のPOLEX日本語版は、Forest Trendの廣光さん、海外青年協力隊の樋山さん、CIFORインターンシップの倉光宏明さんに手伝って頂きました。記してお礼します。(訳者)

森林政策エキスパート(POLEX)メーリングリストは、国際林業研究センター(CIFOR)の無料サービスとして英語版が1997年7月に開始されました。日本語版は2001年12月に開始されました。
このほか、フランス語版、インドネシア語版、スペイン語版もあります。過去のPOLEXメッセージは左のリンクからたどれます。

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