昨年9月のヨハネスブルグでの地球サミットにむけて、EU(欧州連合)は、森林法の強化、森林ガバナンスおよび林産物貿易の改善のための行動計画を作成しました。アマゾン、中央アフリカ、シベリア、そして東南アジアと世界各地で違法伐採による森林破壊が加速しています。そのため、違法伐採による丸太や木材製品を欧州市場に入れないようにすることで、違法伐採を止めようという計画です。
しかしながら、違法に生産された木製品の輸入を止めるというのは、簡単なことではありません。まず第一に、法律の条文が不明瞭だったり、ある法律と別の法律との間に矛盾があったりするために、何が違法で何が合法かという判断自体が難しいのです。つぎに違法、合法の判断基準ができたとしても、輸入時に一本一本の丸太やそれぞれの木材製品が合法的に生産されたかどうかを確認する方法が無いのです。そして、ある丸太が違法伐採によるものだと判定されたとき、どう取り扱うのかという問題があります。違法伐採からでてきた生産物でも、輸出入の手続きは合法的に行われているのです。さらには、違法伐採からの生産物であることだけを理由に輸入制限を実施することが、WTO(世界貿易機関)で認められるのか、という疑問もあります。
では、どうすれば良いのか?
「違法伐採木の輸入制限にむけて欧州がとりうる政策」は、EUおよびEU加盟諸国が違法伐採対策としてとりうる政策オプションのそれぞれについて、その利益と不利益、実現可能性について詳細に調べた結果の報告です。同書は、次の5つの提言をしています。
1)EU諸国は違法に生産された丸太および木材製品の輸入を禁止する法律を施行する。それに合わせて、木材製品が合法的に生産されたものであることを証明するシステムを作るための合意を、木材輸出国からとりつける。
2)木材輸出国において、森林法の改正、森林セクターの改善、合法性を認定するシステムを確立等が可能となるよう、国際的な支援を実施すべきである。
3)欧州諸国は、合法的かつ持続的に生産された木材製品のみを輸入するようにする。
4)マネーロンダリングや盗品の売買を禁止するのと同様の法律を、木材製品にも適用すべきである。
5)違法伐採およびその生産物の流通に関与した企業への貸し付けや投資を凍結する。石油会社や鉱山会社が実施しているように、木材会社も自社製品の産地を明示しなければならない。
同書は、木材輸出国が森林利用権、各種規制、資金補助等の制度を改善しない限り、違法伐採は無くならないことを指摘しています。ここでも、輸入国からの協力が重要です。違法伐採を無くすのは複雑で困難な挑戦です。しかし行動しなければ、解決もありえません。EUは第一歩を踏み出しました。