POLEX: CIFOR's Forest Policy Expert Listserver (Japanese)
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2003年2月5日付け 牛に変わった森(ブラジル・アマゾン)

Beefing up the Brazilian Amazon (Wednesday, February 05, 2003)


 この25年間で、ドイツと同じくらいの面積(訳注1)の熱帯林がブラジル・アマゾンから姿を消しました。失われた森林の約8割は、牧草地さらには放棄された牧草地に姿を変えています。

 ブラジル・アマゾン森林の減少は、東と南の周縁部、パラ州、マト・グロッソ州、ロダニア州で特に急速に進んでいます。国際林業研究センター(CIFOR)のBenoit MertensはCIRAD(訳注2)、EMBRAPA(訳注3)の研究者と協力して、パラ州の中でも森林減少が激しいSao Felix de Xinguで1986年から1999年にかけておきた森林減少について、衛星情報と社会経済情報を合わせた解析をおこないました。1980年代にSao Felix de Xinguで、飼育されていた家畜は22,000頭でしたが、現在は100万頭近くが飼育されています。おおざっぱに言うと、家畜が一頭増えると森林が1ヘクタール減少します。

 1986年から1999年にかけての森林減少の35%は、大牧場の造成によるものでした。パラ州南部とブラジル北東部および南東部をつなぐ道路ができたことにより、パラ州南部の肉や乳製品を都会の市場に出荷できるようになりました。都会の大市場からの需要にこたえるように、大牧場、そして大きな精肉工場がつくられたのです。大牧場の造成を制限した唯一の出来事は、2年前に発生した口蹄疫病により、パラ州産牛肉のブラジル東南部への出荷が制限されたことでした。

 同じ期間中の森林減少の42%は、政府主導の移住計画による小牧場の造成によるものでした。これら小牧場からの牛は、都市近郊の比較的小規模の食肉加工場に出荷されていました。しかし、衛生基準をまもることができなかったため、食肉加工場の多くが閉鎖されてしまいました。そのため小牧場は、子牛をより大きな規模の牧場に出荷するようになりました。また電気、道路、農業投融資など社会基盤が整備されたところに作られた新しい乳製品工場に、牛乳を出荷したりしています。森林減少の残り23%は、政府移住計画によらない中規模の牧場の造成によるものでした。

 森林保護地域内でも、伐採が行われたりしていますが、森林が姿を消してしまうことはありませんでした。急峻な地形や、大きな川の流れが、森林を救ったとも言えるでしょう。保護林の指定を含めて森林政策そのものは、森林の運命にほとんど意味をもっていませんでした。交通整備、農業投融資、土地制度改革、エネルギー政策といった開発政策のそれぞれが、森林の運命に大きな影響を与えてきたのです。


 

訳注1 ドイツの国土面積35万7千平方キロメートル
     日本の国土面積37万8千平方キロメートル

訳注2 CIRAD、フランス熱帯亜熱帯農業技術協力機関(仮訳) http://www.cirad.fr/presentation/en/cirad.shtml

訳注3 EMBRAPA ブラジル農業研究機構(仮訳) http://www.embrapa.br/


今回紹介した論文の無料コピー(pdf形式)を希望される方はBenoit Mertens氏宛、ご連絡下さい。コメントや質問も、同様にお願いします。


2月8日付け アマゾンの世論(続 牛に変わった森)
Re: Beefing up the Brazilian Amazon; opinion poll (February 8, 2003)


 2月5日付「牛に変わった森(ブラジル・アマゾン)」に関連して、ブラジル・アマゾンの人々の森林に対する意識調査結果と、森林保全に対する意識調査の結果を紹介します。

 以下は、ブラジル、アマゾン流域にある3つの州の都会および田舎に住む2049人の人々を対象に実施した世論調査の結果です。

1)森林保全は極めて重要であるということは、ほとんどの人が認めるところでした。
2)46%の人は、自然資源の持続的利用が重要と考えています。
3)59%の人は、雇用機会が増えなくても環境汚染が激化するよりは良いと考えています。
4)69%の人は、森林資源保全は開発よりも重要と考えています。
5)持続的開発の概念を聞いたことがある人は、29%にすぎませんでした。

この調査結果に関する詳しい報告は、下記WEBサイトから入手できます。
http://www.codigoflorestal.com.br/english/pesquisa.asp

ブラジル全土を対象とした別の世論調査によると、環境問題として重要と考えられているのは、森林減少(49%)、水質汚染(29%)、大気汚染(15%)の順となりました。この調査の詳細な結果については、下記WEBサイトから入手できます。
http://www.iser.org.br/portug/meio_ambiente_brasil.pdf.

 今回の情報は、ブラジルのLuiz Carlos de Miranda Joelsさんから頂いたものです。Luizさんによると、「私自身のアマゾンにおける経験からすると、上で紹介した調査結果については、ささいなものながら偏りがあるような気がします。アマゾンの人々は調査した人々が欲しがっている結果に気づいて、期待に添うような回答をしたのではないかと考えています。特に、雇用と環境汚染に関する部分は、現実離れしているような気がします。」とのことです。

 Luizさんは、個別の問題についてさらに詳しく知りたい人には、できる限りの対応をして下さるとのことですので、もし質問等がございましたら、下記宛、直接ご照会下さい。

Luiz Carlos de Miranda Joels
Gerente de Programa
Ciencia e Tecnologia para a Gestao de Ecossistemas

Ministerio da Ciencia e Tecnologia


Esplanada dos Ministerios, bloco E, sala 256
Brasilia DF 70067-900
tel: (61) 317-7401
fax: (61) 226-0834
joels@mct.gov.br

森林政策エキスパート(POLEX)メーリングリストは、国際林業研究センター(CIFOR)の無料サービスとして英語版が1997年7月に開始されました。日本語版は2001年12月に開始されました。
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