5年にわたる議論をへて、世界銀行は新しい森林政策を採択しました。世界銀行は先月、天然の熱帯雨林伐採に対する融資制限を緩和することを発表しました。もちろん、この新しい融資戦略においても、保護林や保全的価値の高い森林の破壊につながる事業に世界銀行が融資することはありません。森林政策の新指針において、世界銀行は森林認証制度が持続的森林管理の実現に有効なものであることを強調しています。
今回、世界銀行の森林政策が変更されたのは、1991年以降に実施された世界銀行の森林関連プロジェクトに対してUma Leleと彼女の共同研究者がおこなった再評価の結果をふまえたものです。Uma達は、再評価の一環として、ブラジル、カメルーン、中国、コスタリカ、インド、インドネシアの六カ国で、世界銀行のプロジェクトが森林・林業に与えた影響について調査しました。世界銀行は、再評価および上記六カ国のそれぞれにおける事例研究の結果を、個別の報告書として、数年前に公表しています。
今回、世界銀行が新しい森林政策を採択したことを受けて、Uma達は「地球環境資源の管理:森林保全と開発の両立に向けた挑戦(Managing Global Resources: Challenges of Forest Conservation and Development)」を出版します。同書は、上記六カ国での事例研究の要約、それから地球環境資源としての森林の利用および管理に関する指針を提示します。
ブラジル、カメルーン、インドネシアのように森林資源が豊富な発展途上国の政府は、森林資源を開発のための資金源と利用し、保全のための支援をも受けようとする傾向があると、同書は指摘しています。先進国の人々が生物多様性や地球温暖化ガスの一つ二酸化炭素の吸収能力といった地球規模の環境機能を森林に期待するというならば、それに見合う費用も負担すべきであるという主張が発展途上国側からなされます。しかし、発展途上国の森林がもつ地球環境機能に対する先進国の費用負担をどのように実現するかは、極めて難しい問題として残されています。
一方、中国やインドのように、森林資源が枯渇しつつある国々では、水源涵養林としてまた地域住民が木材および非木材の森林生産物を採集する生計の場として、森林を保全することさらには森林を修復することの必要性が、広く認識されています。そのような国々では、森林管理や修復により将来的に利益を得ていくために必要な初期投資が求められています。
音楽のベストアルバムに新曲がはいっていないのと同じように、Uma達の本は本当に新しい情報をたくさん提供するものではありません。しかしベストアルバムに集められた名曲を聴く楽しみと同じように、質の高い情報が一所にとりまとめられている書籍は貴重な資料となることでしょう。