POLEX: CIFOR's Forest Policy Expert Listserver (Japanese)
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2002年10月21日付け 炭素の利益を住民に

Carbon markets for the poor (Monday, October 21, 2002)


 今週、インドのデリーで始まるCOP8(注1)から、地球温暖化ガス排出削減に関する議論は新たな局面に入ります。前回、モロッコのマラケシュで開催されたCOP7において、開発途上国での新規植林および再植林(注2)が京都議定書12条で規定されるクリーン開発メカニズム(CDM、注3)の吸収源として認められました。2008年から2012年にかけての第1約束期間では、新規植林、再植林しかCDMとして認められていませんが、第2約束期間以降は森林保全や低インパクト伐採施業等の森林の持続的な利用も、CDM事業として認められる可能性が出てきました。

 国際林業研究センターのJoyotee Smithとフォレストトレンズ(注4)のSara Scherrは、「森林の炭素と農村の生計(Forest Carbon and Local Livelihoods)」として、CDMプロジェクトが農村(地方)の人々の生計に与える影響について取りまとめました。同書は、大規模植林、小規模植林、アグロフォレストリー、天然更新、住民共同体による森林管理および厳正な森林保全のそれぞれについて、CDMが地域の人々の生計に与える利益とリスクに関する評価を行っています。CDMプロジェクトの形態の違いにより、利益とリスクも異なります。しかし、規模が小さいほど、また住民の参加度が高いほど、地域住民の生計が向上する傾向があります。

 小規模なCDM森林プロジェクトではより大規模なプロジェクトに比べて、環境への好影響が大きく、リーケッジ(注5)のリスクが小さくなります。小農家や共同体によるCDMプロジェクトは経済的に実現性の高いものですが、大規模プロジェクトに比べるとコスト高の傾向があります。これは、多数の小規模農家による事業をモニタリングするには費用がかかること、そのようなプロジェクトは多くの場合、生産性の低い土地で実施されていることによります。そのため、小規模生産者にもCDMプロジェクトによる利益をもたらしたいと考えるなら、発展途上国政府は小規模生産者達が大規模プロジェクトに対して競争力を持ちうるよう配慮する必要があります。

 JoyoteeとSaraは、CDMプロジェクトの実施にあたっては、地域の人々が従来持っていた森林および土地利用に関する権利が侵害されないようにすべきであると強調します。CDMは、小規模な植林活動、アグロフォレストリー、そして森林再生をも対象にする必要があります。また、規模に応じて簡略化された報告システムを採用する必要があります。発展途上国政府は、地域の人々の土地および森林利用に関する権利を保証し、CDMに関する普及教育およびプロジェクト形成への支援をすることで、国民に利益をもたらすことができます。

 クリーン開発メカニズムは、その名が示すとおり環境に悪影響を与えることなく開発に貢献すべきです。JoyoteeとSaraは、CDMプロジェクトの進むべき方向を示しました。


 

今回紹介した報告書(pdf もしくはword)を希望される方は、CIFORのMs. Nia Sabarniati宛、お申し込み下さい。コメントは Dr. Joyottee Smithにお願いします。


注1:気候変動枠組条約第8回締約国会議

注2:新規植林(afforestation), 再植林(reforestation)

注3:クリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism)

注4:Forest Trends 保護区以外の森林保全に市場ベースで取り組む非営利団体 http://www.forest-trends.org

注5:leakage プロジェクト実施によりプロジェクト対象地域外における炭素放出が増加すること。


訳者付記
今回のPolexメッセージで紹介されたCOPおよびCDMについては、下記のホームページおよび報文が参考になると思います。

外務省および環境省 ホームページ
気候変動枠組条約第7回締約国会議(COP7)に関する報告。
http://www.env.go.jp/earth/cop7/index.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/kiko/cop7/index.html

国立環境研究所 地球環境研究センターニュース
http://www-cger.nies.go.jp/cger-j/c-news/news-1.html
Vol 12 No 9
気候変動枠組条約第7回締約国会議(COP7)の概要
陸域生態系の吸収源機能に関する科学的評価についての研究の現状

林野庁ホームページ
地球温暖化防止に向けて-森林の役割-
(新規植林、再植林、森林経営活動 等がわかりやすく図示されている)
http://www.rinya.maff.go.jp/seisaku/sesakusyoukai/ondanka/top.html

炭素吸収源CDMの仕組みと今後の展開
熱帯林業 54号 2-14ページ

 

気候変動枠組み条約における吸収源CDMに関する最近の動き
緑の地球 65/66合併号 7-8ページ 

「熱帯林業」、「緑の地球」については、国際緑化推進センターにお問い合わせ下さい
http://www.jifpro.or.jp

森林政策エキスパート(POLEX)メーリングリストは、国際林業研究センター(CIFOR)の無料サービスとして英語版が1997年7月に開始されました。日本語版は2001年12月に開始されました。
このほか、フランス語版、インドネシア語版、スペイン語版もあります。過去のPOLEXメッセージは左のリンクからたどれます。

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