1994年から97年にかけてカンボジア国政府は、30社の商業伐採企業との間で伐採契約をおこないました。森林伐採権地として割り当てられた林地は、同国の森林面積の半分以上にあたる650万ヘクタールに達しています。その後、いくつかの契約は取り消されたのですが、同国は天然林における伐採契約制度を継続していく方向です。世界銀行を始めとする国際援助機関は、伐採企業が森林を持続的に管理するとともに納税額を増加するよう、働きかけを続けてきました。しかし、カンボジア開発資源研究所のBruce McKenneyは、「カンボジアにおける持続的伐採契約林業への疑問(Questioning Sustainable Concession Forestry in Cambodia)」によって、持続的森林管理と税収増の両方が計画倒れになっていることを指摘しています。
同書によると、ほとんどの伐採権取得企業が、
・商業価値の高い樹種をより早く伐採しようとする傾向があり、
・択伐後の回帰年25年とする法律を無視して 択伐から8年後までに次の択伐を実施し、
・国際機関が提唱するヘクタールあたり10立米にとどまらず、 ヘクタールあたり40~50立米の木材を収穫し、
・木材加工工場の能力を最大限に発揮できるよう、 持続的森林経営を不可能にする過度の伐採をおこなう、
という実態をもちます。
そして上にあげたような活動は企業にとっては、利益を高めリスクを減らすものであるため、自発的な改善は望めないとされています。
伐採契約制度による税収増も、期待されていたものと比べて、はるかに小さいものでした。当初の見積もりでは年間1億ドルの税収が見込まれていました。しかし、1996年から2000年の間、林業活動からの税収が年間1,200万ドルを超えたことはありませんでした。
伐採契約制度が持続的森林経営にも歳入増にも繋がらなかったことを受け、カンボジア国政府は森林経営について新たな方法を検討すべきであると、同書は指摘します。規則を遵守しない企業に対する伐採権契約を停止すること、住民共有林、水源涵養林、エコツーリズム林、生物多様性保全林等として、森林を管理していくことが提言されています。