多くの地方自治体は、環境保全地域の存在によりその土地を他の土地利用に供することから得られたであろう税収を失ったという不満をもっています。ブラジルでは、ミナスジェライス(Minas Gerais)州、パラナ(Parana)州他のいくつかの州で、環境保全地域をもつ地方自治体に対して、特別の資金が補填されています。このような資金補填に関して、Peter May, Fernand Veiga Neto, Valdir DenardinとWilson Loureiroは「生態的付加価値税交付金に対する地方自治体の反応―ブラジル、ミナスジェライス州、パラナ州の事例」として取りまとめました。
1992年以来、パラナ州は同州が徴収するすべての付加価値税のうち2.5%を、州内の各市政区が有する環境保全地域の面積と管理状況に応じて交付しています。ミナスジェライス州は、同様の政策を1996年に始めました。ただしミ州の場合、交付金は付加価値税収入の0.5%で、保全内容にかかわらず保全地域の面積に応じた支出となっています。両州ともに交付金の使途に制限は無く、パラナ州では半数の自治体が、ミナスジェライス州では3分の1の自治体が交付を受けています。
上記のような施策の結果、現在では多くの地方自治体が保護地域の増大を志向するようになりました。上述の施策の実施以来、環境保全地域がパラナ州で165%、ミナズジェライス州で65%増加しました。このような面積の増加に貢献したのは、完全に保全はされていなかったものの、自然環境保全のためにその土地の利用に一定の制限がかけられていた私有地でした。
Peter May達は、この施策の地方自治体による 違いも報告しています。Peter達が調査した9つの自治体では、環境保全交付金が自治体の収入に占める割合が1%未満から17%まで大きなひらきがありました。また、受け取った交付金以上の金額を環境保全に支出する自治体がある一方、そのための支出をまったく行なっていない自治体もありました。環境保全地域を積極的に増やすことで収入増をもくろむ自治体がある一方、このような交付金の情報も無ければ対応もない自治体もありました。ある地方自治体では、私有地を環境保全地域とすることの代償として大規模農家が大きな収入を得ていました。また森林を適切に管理しているということで、地方の貧しい世帯が交付金からの収入を得ている自治体もありました。
それぞれの州政府は付加価値税収入のより多くを生態系保全のため支出すべきであり、またこのような施策に対する合意形成をすべきであると、著者達は信じています。また、環境保全地域の面積だけでなく保全内容に対する指標を州政府が示すことで、交付金がより効果的に支出されると著者らは主張しています。州政府は交付金が環境(保全)のために使われるよう地方自治体に要求することもできるでしょう。