熱帯林が減少している理由について、人々はそれぞれ時として相反する理由を考えています。ある人々は、人口爆発と小規模農家による焼畑を非難しています。また別の人々は、政府の森林政策の誤りや大企業および大地主の活動を森林減少の要因として重要視しています。森林減少について議論するためには、現実に即した証拠が多数必要なのです。
Helmut Geist達は、「熱帯林減少につながる直接的な原因と背後要因(Proximate Causes and Underlying Driving Forces of Tropical Deforestation)」において、さまざまな地域からの実例を多数取りまとめました。著者達は、熱帯地域での森林減少に関する152の研究例をみなおして、森林減少にはさまざまに異なる原因がそれぞれ重要であることを示しました。ここで著者らが対象とした地域とは、一つの集落から複数の州にまたがるまでの広がりをもっています。
実際、どの地域でも、農民は森林を切り開き、作物を植えたり牧草地にしたりしていました。約半数の場合、商業的な伐採が森林減少に重要な要因で、移動耕作は約40%の場所で重要な要因となっていました。牧場の造成は、ラテンアメリカでは重要な要因ですが、アジアおよびアフリカではそれほどではありません。燃料材の採集も各地にひろがっています。全体の約5分の2の場所で、貧困が森林減少につながっていました。また同じくらいの頻度で、強力な政府機関や私企業が自分達だけのために、森林伐採を推進していることが森林減少を引き起こしていました。
森林減少を引き起こす背後要因としては、道路建設、換金作物や木材に対する需要の増加、農業開発のための移住計画、援助による借款、土地利用権に関する不適切な政策などが目立っていました。これらの背後要因は、熱帯地域すべてに共通のものですが、アフリカでは移住と援助による借款はそれほど重要ではありませんでした。多くの場所で、人々の入植によって森林が切り開かれています。しかし、高い人口増加率が森林減少を加速しているという証拠はありませんでした。森林減少に関するほとんどの研究は、文化的もしくは技術的要因の影響に焦点をあわせていました。
ここでみてきたことは、私達が熱帯林の減少についてどのような原因を考えようと、その事例が成立する場所を見つけることができるということです。それは私達がどこに注目するかにのみかかっています。ほとんどの場合、熱帯林の減少は一つの原因で起きているわけではありません。複数の異なる原因が組み合わさった結果として森林が減少しているのです。そのため、不適切な森林伐採を改善するための統一的な政策はありえないのです。いずこの地域もそれぞれ、その地域に特有のアプローチを必要としています。
ここで紹介したGeistとLambinの研究は、最近Bioscience誌に掲